親や親族が亡くなった際に相続が行われますが、その際に引き継がれるのは土地や物件に限らず、たとえば借地権も相続対象になります。
耳慣れない権利なので、借地権がどういったものか把握していない方も多いでしょう。
今回は借地権がどのような権利なのか、持ち主が亡くなった際に相続が可能なのか説明します。
不動産の借地権は相続や売却が可能?
借地権とは土地を借りる権利のことです。
たとえば、ある人が土地のみを借りて自己資金で賃貸アパートを建てた場合、その方は借地権を利用したことになります。
その人が亡くなって息子が相続人になり、借地に建てられたアパートを相続するとしましょう。
この場合、敷地内に建てられた不動産物件と同様に、借地権も息子が相続する財産になります。
借地権の相続は地主の許可なく可能ですが、あとでトラブルにならないように報告しておいたほうがよいでしょう。
また、借地権は売却が可能ですが、相続と異なり地主の承諾を得なければなりません。
もしも無断で行うと契約違反とみなされ、地主に借地権の返還を求められることもあるので、重々ご注意ください。
不動産の借地権を相続したときの注意点は?
借地権を相続する場合はいくつかの注意点があります。
まず1つめの注意点は、地主との契約に借地権が影響することです。
借地権には1992年以降の新しい借地法による「普通借地権」とそれ以前の借地法が元の「定期借地権」の2種類があります。
なかでも「定期借地権」には定められている存続期間があるため、相続人は期間を終えると地主へ借地権を返さなくてはなりません。
契約の更新や延長も不可能なのでご注意ください。
2つめの注意点は登記です。
たとえば、Aさんが借地に建てられた不動産を父のBさんから相続したとします。
そのときに登記名を変更する手続きが遅れてBさんのままだと、登記名の違いで後に地主と揉めることがあります。
そして3つめは遺贈についてです。
たとえば、ある男性が亡くなり、遺言状には息子や配偶者でなく昔世話になった友人に借地権と不動産を渡したいと書いてあったとします。
この場合は借地権の遺贈になり、地主に承諾料を払わなくてはなりません。