「相続で不動産を共有名義にしたが、遠方にある土地なので売却したい…」「面倒な共有関係から解放されたい…」など、共有名義の不動産のうち自分の持分だけの売却を考えている場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
不動産を共有している人に向けて、共有不動産の売却方法や注意点などについて解説します。
そもそも共有不動産とは?自分の持分だけを売却・買取はできる?
不動産の共有とは、土地や建物などの所有権を単独ではなく複数人で有している状態をいいます。
共有名義の場合、全員の同意がなければ、不動産全体を売却することはできませんが、共有持分割合に応じて自分の持分のみを売却することは可能です。
自分の持分に対しては完全な権利があり、他の共有持分者の許可を得る必要もありません。
ただし、建物を分割することは物理的にできないため、土地のみの場合に使える限定的な方法といえます。
しかし、トラブルになりやすいことから第三者への売却は現実的に難しいかもしれません。
早期の売却を希望する場合、共有持分買取業者への売却を検討するべきでしょう。
共有不動産のうち"持分だけ"売却する方法を解説!
共有持分買取業者とは"共有持分だけでも買取をする専門の不動産会社"をいい、一般の第三者への売却が難しい共有持分だけでも売却することができます。
その際も通常の取引と同じように、まず不動産の査定を依頼し、買取金額を提示してもらいます。
金額に納得したら契約を締結して決済をおこない、代金を受け取ります。
他の共有持分権者の同意は必要なく、持分売却の報告も不要です。
業者(買主)によって名義変更がなされると、共有関係から解放されます。
他の持分権者とのトラブルに注意!不動産を持分だけ売却する際の注意点
買取業者は、買取後に他の共有者に売却することを目的としています。
というのも、共有持ち分は実質的に他の共有者しか売却相手がいないためです。
一般的な取引に比べて限定的でリスクも高いため、安い価格での買取になることを知っておきましょう。
一般的な物件の買取価格は相場の80%程度ですが、共有持分の買取価格は本来の価値の50%程度となります。
また、共有持分を買取業者に売却すると、買取業者から「共有物分割請求」をされてしまう可能性があります。
この場合の「共有物分割請求」とは、さらに分割して共有持分を細かくするという意味ではなく、逆に共有状態を解消して単独所有とすることを意味します。
買取業者は、買取後いつでも他の共有持分権者に「共有物分割請求」をおこなうことができます。
共有持分権者との話し合いで整わない場合、買取業者は裁判所に訴えを提起することができ、最終的には物件が競売にかかってしまう可能性もあります。
できれば買取業者への安易な共有持分売却は避けたほうがよいかもしれません。