不動産の相続が発生した際に、相続人のなかに海外在住者がいた場合、どのように相続をおこなうのでしょうか。
海外在住者がいる場合は、通常とは異なる手続きが必要となります。
今回は、被相続人のなかに海外在住者がいた場合の手続き方法や、必要な書類、注意点を解説しますので、不動産相続の予定がある方はぜひチェックしてみてください。
相続人に海外在住者がいる場合の不動産相続の流れや必要書類とは?
不動産相続の流れ
相続が発生した場合、相続人であるすべての人で、遺産の分割方法について話し合いをおこないます。
この話し合いのことを「遺産分割協議会」と言い、海外在住者を含めたすべての相続人が合意しなければ、手続きが進められません。
合意は、実印の押印によって認められますが、実印制度のない国に住んでいる海外在住者は、次の書類が必要となります。
海外在住者に必要な書類
サイン証明書
遺産分割協議会には、実印と印鑑証明書の添付が必要です。
しかし、台湾・韓国以外の国には、印鑑証明書や住民票の制度がありません。
そのため、海外在住者は印鑑証明書に代わるサイン証明の添付が必要となります。
サイン証明は、遺産分割協議書を日本領事館等の在外公館に持参し、係官の前でサインをすると、発行してもらえます。
在留証明
住民票と同じ効力を持つのが、在留証明書です。
サイン証明書と同様に、現地の在外公館で発行してもらえます。
ただし、在留証明の発行は、日本国籍であることと、現地に3か月以上滞在し現在も滞在し続けていることが条件となります。
不動産相続で相続人に海外在住者がいる場合の注意点とは?
相続人と遺産の範囲の調査
相続が発生した場合、戸籍謄本などから相続人の範囲を調べることになります。
遺産については、故人の遺品や生前の言葉から、内容を特定していきます。
海外在住者の場合、このような遺産の調査に関与するのは難しくなります。
他の相続人に任せることになるので、トラブルを防ぐためにも、残高証明や登記謄本などの資料は、しっかり確認を取っておくことが重要です。
納得のいく協議を
海外在住者の場合、故人との関わりが薄いと判断され、協議では弱い立場に置かれることもあります。
しかし、遺産分割協議は相続人全員の合意がなければ成立しないので、内容に納得してからサインをすることが大切です。