自分または親族が死亡したあとの財産をどうするのか、体が健康なうちにしっかり決めておくことはとても大切です。
死亡後の財産を継承する主な方法には、相続・遺贈・死因贈与の3つがあります。
この記事では、そのなかでも特に死因贈与に焦点を当て、死因贈与とは何か、そのメリット・デメリットを解説します。
不動産の死因贈与とは?
死因贈与とは、文字どおり、死亡したことを原因として贈与する行為のことをいいます。
より細かく説明すると、「贈与者(財産を贈る人)の死亡を条件に、あらかじめ指定した財産を受贈者(財産を受け取る人)へ贈与する」といった旨の契約を、当事者同士で結ぶことです。
似たような意味を持つ言葉に「遺贈」がありますが、こちらは、「遺言により、受贈者へ財産を無償で譲ること」を指します。
この2つの大きな違いは、死因贈与が当事者同士の契約であるのに対し、遺贈は遺言者の意思表示であり単独行為であることです。
不動産を死因贈与するメリットとは?
死因贈与を選択するメリットとしてまず挙げられるのが、文言や日付、自署押印などについて、遺言にあるような厳格なルールがないことです。
トラブル防止のためにあまりおすすめはしませんが、例を出すと、口約束でも認められる可能性があります。
そのため、遺贈の際に起こりやすい、形式的な不備によって契約が不成立になるようなことは起こりません。
また、「負担付き死因贈与」という方法も選択できます。
これは、贈与する代わりに何かを負担してもらう契約のことです。
負担の一部でも契約どおりに果たされていれば、途中での契約の撤回はできません。
つまり、贈与者にとっては自分の要望を叶えてもらえるメリットが、受贈者にとっては権利がしっかり守られるメリットがあるのです。
不動産を死因贈与するデメリットとは?
死因贈与の大きなデメリットは、支払う税金が高くなることです。
たとえば、遺贈によりかかる登録免許税が相続人0.4%、相続人以外2%なのに対し、死因贈与では相続人・相続人以外にかかわらず一律2%となります。
さらに不動産所得税に関しても、遺贈であれば相続人は非課税、相続人以外4%なのに対し、死因贈与では一律4%です。
また、負担付き死因贈与では、契約を途中で撤回できないことが、贈与者にとってはデメリットになる場合もあるでしょう。